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災い転じて…?
2015年12月03日 (木) 12:34 | 編集
早朝から大粒の雨が降っている魚沼。今日は終日どんよりとした空模様となりそうですね。


さて、本日は夕方から夜に掛けて出荷作業があるためいつもよりも少し早めの更新です。


今回はなんと言うか、基本的には残念な話を書いてみようと思います。先日書いた記事に


頂いたコメントがきっかけなんですが、毎年数多くの二歳立てをしていると当然の事ながら


すべての鯉が良くなって上がって来る訳ではありません。今回はその一例というお話です。


悪くなり方にも色々あり、緋盤が飛んで真っ白になる鯉や二番緋が出てボロボロになる鯉、


あるいは体が曲がったり、獣や鳥に襲われて酷い傷が残ったりと本当に様々。まぁ一番は


死んで池から上がって来ないというのが最悪なのでそれ以上に悪いことはありませんが。


そんな中で、なまじ良い鯉の一部だけが決定的に駄目になり他がバシッと決まる様だと


頭に良い時のイメージが残っている分だけ残念感が強いんですよ。この昭和も当歳時に


左のヒレを大きく痛めて、その時点で観賞用としてはもう立てても駄目だなーというのが


わかってたんですが、駄目元で立てたらやはり見れるだけの質の鯉だったんですよね。


個人的には今年一番の残念賞はこの鯉です。何事も無ければ見れる昭和なのにな~ 笑



こういう鯉は美を競い合う品評会がNGなので、生産者的には質を追いかけて将来的に


親鯉にするという選択肢で見ていく事になります。まぁ、必ずしも親の質がすべて仔に


伝わる訳では無いので親としての価値も結局の所は未知数ですが、もしそれが当たれば


今度はむしろ怪我をした事自体プラスに変わります。こういう鯉は預かりでもしない限り


すぐ手元から居なくなりますからね。この鯉が今後どうなるか、残念感を引きずりながら


見ていこうと思います。怪我もひとつの縁。災い転じて…となれば最高ですが… (^^

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続・比べてみると…
2013年12月12日 (木) 19:01 | 編集
夜になっても雪の勢いは一向に衰える様子を見せません。パッと見ですが20~30cm程度は


積もったという感じでしょうかね。こうなると少し考え物なのが夜出歩く際の足元で、出荷


作業などの仕事ならば長靴一択なんですが、忘年会などの集まりとなると少しくらいは格好


付けたい願望もあったりする訳で。歩き易さ優先か、自己満足か…。雪国の辛い所です 笑


さて、つい先日は当歳→二歳の成長を見比べてみようという完全なる思いつき企画を載せた


訳ですが、今回はもうちょっと長いスパンで見比べてみたらより面白いんじゃね?てな事で


資料を探した所、当歳から現在の四歳までの画像データが揃っていた三色が居ましたので、


それらを使って成長の経過を見ていこうと思います。この鯉がこんな風になるのか~という


具合に墨物の成長の一例としてご覧下さいね。それではまずは当歳の頃からスタートです!


■ 当歳時:頭の入りと尾止めに白地を見せている他は完全に未知数。墨が多く模様は不明。


こういう鯉をどれくらい立てるのかで生産者の個性が出ますね。ウチは結構立てますが 笑



■ 二歳時:墨が沈み全体的に墨と紅のリズムが出てきました。いけるかも?とか考え出す。


当歳時に墨が多いタイプの鯉は特に当歳→二歳の間で印象が変わる事が多い気がするなー。

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■ 三歳時:墨が更に沈んで白地の部分を見せてきた事でスッキリとした感じになりました。


この年は夏が連日の猛暑続きで餌食いが悪く、体がそれ程伸びなかったのが痛かったかな。


頭の所の三つの墨が顔っぽく見えたので個人的には「クリーパー」とか呼んでましたね 笑

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■ 四歳(現在):去年を取り返すぐらい食ったらしくポンポンとして上がってきました。


模様にそれ程大きな変化は見られませんが、体が出来てくると大分印象が変わりますね。


頭の墨が沈みクリーパーで無くなったのがちと残念ですが、緋盤に被っていた墨は飛んで


沈んでいた白地の部分に再び出てきているのは好材料です。左側二箇所目と尾止めの所に


墨がもう一度強く出てくれればこの鯉の模様としてはほぼ完成という事になりそうですね。


今年の魚沼品評会では60部総合優勝。まだまだここから伸びるはず、食い込ませなくては。

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足早に四年分の成長をご覧頂きましたがいかがだったでしょうか。この鯉は比較的順調に


伸びてきた鯉ですが、実際には立てる途中で駄目になったり(最悪の場合だと死んだり)


思うように良くならない鯉もかなりの数が出ますので、生産者は常にどの鯉がどこまで


良くなるかという一点を見極めながら飼育に臨む事になります。期待を裏切られる事も


あれば(というか裏切られる方が圧倒的に多いです)予想外の鯉が上がってくる場合も


あったりと鯉の成長はまさに千差万別、それだけにバチっと決まったのが上がってきた


時などはもう嬉しいんですよね~。経年変化を追える様な錦鯉をバンバン作るためにも


まずはこの冬をしっかりと乗り切らなくては。雪との戦いはこれからが本番、頑張るぞ!




蛇足:ちなみにこいつがクリーパーさん。実際にゲームをプレイした事はありませんが


可愛い顔して人がせっせと作った建築物を爆破していくという恐ろしい奴らだそうな…。

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男のロマンって奴です
2012年03月18日 (日) 21:15 | 編集
生簀にて今日は何を書こうかと考えていた所、先日の昭和の親の仔にまつわる話などが


面白そうでしたので、やや前回と内容が続きっぽいですがお届けしてみようと思います。


お話をする前にまず見て頂きたいのが下の二本。いずれも先日の昭和の仔(雌)となります。


どちらもまだ3才の若鯉という事で墨は決まりきっていませんが、骨格など体の作りが良質で


恐らく今後数年で見頃を迎えるだろうという鯉です。ウチ期待のルーキーと言った所ですね。


少し前置きが長くなりましたが、いずれも親の昭和の外見からは似ても似付きませんよね。


ここが難しい所なのですが、錦鯉の場合、親の掛け合わせにおいて生産者が頭を悩ませる


要素のひとつに「相性」というものがあります。単純に考えれば美しい鯉×美しい鯉=優秀品


というシンプルな構図となりそうなのですが、それが実はそれ程簡単な話では無いんですね。


親がどんなに凄い鯉でも、その形質がなぜだか次世代に伝わらないという事は結構あります。


だからと言って親は何でもいいのかと言えばそんな事は無く、多くの生産者が皆口を揃えて


「最終的には親の質」と言う事からも、ここが最も重要な要素なのは恐らく間違いありません。


親は凄くないと駄目。でもそれだけでも駄目。ここら辺に養鯉の面白さがある様に感じます。


親同士の血の相性、産卵の際の白子・卵の状態、池の土質・水質、飼育方法、餌、天候…etc


それら全てに加え「運」までがガチッ!と組み合わさった時に親を凌ぐ様な鯉が出来るのです。


この二本がそんな鯉になるかはわかりませんが、そうした未知の可能性こそロマンそのもの。


もっと魅力的な物を。もっとワクワクする展開を。これこそあらゆる創作活動の根源ですよね。


(※画像はクリックして頂くと別画面で大きく表示されます。)
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雌親ヒストリー 昭和編
2012年03月17日 (土) 19:45 | 編集
さて、本日は来月号の鱗光に掲載する鯉の選定作業などをしていたのですが最終決定には


まだ時間が掛かりそうですので今回は順繰りに来ていた雌親の話をしてみたいと思います。


一生産者の前に無類の鯉吉(=鯉吉:心底錦鯉が好きな人への敬称)でもある父は、見所が


僅かでもある!と感じた鯉に関しては半ば採算度外視で立ててしまうという少し困った気質の


持ち主。仕事云々というよりは自分の見たい鯉を作るため生産者になったと言った方が適切な


くらいの人物なのですが、その気質が時として思わぬ様な成果をもたらす事があったりします。


それが例えばこの昭和の雌親。外見上はそれほど整った鯉とは言えませんので人によっては


親として使う事をためらうかもしれませんが、実はこの昭和、母親が118cmの緋鯉なんです。


幼魚の時に縁あってウチに来た数本の中から唯一雌となったこの一本を親に使いたい!と


立て続け、一昨年4才になった時点で採った仔は他の鯉に比べると体の伸びや造りが特に


際立っていた様に感じました。鯉の見所を徹底的に求める父の執念が実を結んだ結果です。


一昨年は出した卵が少なく、去年は水害で昭和の池がほとんどやられたため尾数はあまり


居ませんが、それでも残った仔達の姿を見れば採りたいと思わせてくれる親鯉となりました。


可能性を感じたら、挑戦して、工夫して、やり続ける。人生のお手本が詰まった一本なのです。



雌親ヒストリー 三色編
2012年03月09日 (金) 19:55 | 編集
先日は紅白の雌親の話をしましたが、ならば順繰りにやってしまえと言う事で今回は三色の話。


少し古い話をするとウチは一昔前まで紅白の作出がメインだったのですが、父が一本の三色に


(=「質が良くて頭が物凄くでかい雌」だったそうです)一目惚れした事から徐々に三色の作出が


紅白に比べて増えてきました。魚沼の土質は元来墨物や浅黄などの品種に合うとされており、


当時、父は期待も込めてこの系統に地名を冠して「八色三色」と名付けたのですがその最中に


各地に大きな被害を出した中越地震が発生。その年作出の当才達は大ダメージを受けました。


その後幾度かの水害、豪雪の連続などで三色の作出は苦労続きでしたが、それらを耐え抜いた


血統が受け継がれて今日ではこの本命の雌に至っています。養鯉に限った事ではありませんが


歴史上の多くの表現者達がそうだった様に、自分なりの美の追求に終わりは決してありません。


しぶとく諦めず、そして何より一番は楽しみつつ今後も更なる改良を重ねていきたいと思います。


実は先日の紅白の腹を借りるか?なんて案も出てたり。案外、面白い鯉が出来るかも? (^^

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八色三色が特集された当時の月刊錦鯉。父もまだ結構若いですね。しかし表情が硬い… 笑

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